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パネルディスカッション

テーマ

  1. 「災害ソリューション実践」を通じて学んだこと・考えたこと
  2. これからの復旧には何が必要か
  3. 東工大生だから出来ることか

テーマ1:今回のプロジェクトで皆さんが考えたこと@

桑子

 まず坪川さんからお話を伺いたい。

坪川

 防災科学技術研究所の坪川と申します。 私を含めここにいるほとんどの方が理科系の方と思いますが、 災害の時が理工系の人間が一番能力を発揮する時ではないかと思います。 これから復興していくときは堤防をどのくらいの高さにするのかといったことや 道路をどうするか、家をどうするか、いろいろなことで 理工系の方の知識や技術が役に立つ。

 私たち(防災科学技術研究所)はこれについて社会貢献しなければいけない立場ですが、 通常、理工系の人の役割は堤防を立てたときにどれくらいの高さにするのか計算させられて、 「後はよろしく」と、国などの機関にわたすという構図になっているわけですが、 今までのように理科系の人たちは計算するだけ,形だけでいいだろうかと感じます。 例えば、また津波が来ても私はここに住みたいという方いらっしゃいますが、 建物は100年くらいしか持たない。 次の津波が来るのは1000年先かもしれない。 そこでそのために防災のための投資をするんだろうか、 と考えると防災の投資は無駄だという声も出ないともかぎらない。 それを考えてどこにどういったものを作るのかという話をすると、 単純に技術の話だけでできるものではない。 それが災害の難しいところではないか。

 今回地域の方には多様な方がいて、 もうここには住みたくないと言って出ていく方もいれば、 ここに住みたいという方もいる。 いろんな人がいるということを社会の多様性の中で受け止めて、 しかも地域の方々の声を発信していかなければならない。 その意味ではこの取り組みはとてもいいことではないかと思います。 マスコミはマスコミの作りたいものしか流しませんので、 地元の方が自分の声で伝える機会を作ってそれを学生の方々が支援をする という構図は今までなかったことだと思います。 これが一つのきっかけになってこれから協同の場が広がるといいと思います。

桑子

 ありがとうございます。地元からの情報発信の支援というのが一つのキーワードですね。
 それでは、本條さん。

本條

 NTTドコモモバイル社会研究所本条と申します。よろしくお願いします。 今ちょうど理工系ということがテーマとなっていましたが、 私が現地で皆さんと活動していたときには 理工系の強みは技術に限ったことではないということを強く感じました。 というのはテレビなど報道を見ていると現地の人に過剰に感情移入したものや いろんなストーリーを作り上げたものがけっこうあって 状況によってしまうということがある。 実際今回皆さんと活動してそのようなものがほとんどなかった。

 基本的に状況をロジカルに考えてその上でで状況を先読みして考える。 これはそれぞれの専門の中で鍛え上げられた思考ではないか。 実は理工系だからこそ技術というわけではなくて、 それ以前に 理工系のマインドを持っていることが多面的な支援を可能にするものの一つになるのではないか。 そういうところを見せて頂いたということで今回の活動は私にとっても非常に有意義だったですし、 そこを中心に技術に頼らない多面的な支援ができるんじゃないかとそのように考えております。

桑子

 岸田さんはどうですか。

岸田

 情報環境学専攻修士2年岸田と申します。 私は大学で都市計画と街づくりを勉強しています。よろしくお願いします。 ロジカルシンキングではないですが、 先ほど坪川さんが「人によって考え方がいろいろ違う」とおっしゃっていたと思いますが、 それをこの活動を通じて強く感じました。 というのは、人によって状況が全然違う。 津波で家をなくされた方とか、家はあるけど強い地震の揺れを感じた方とか、 求めているものが違うな、 というのをすごい体感できたので、人によって支援の仕方が違うというのを実感しました。

桑子

 でも現地の多様性、複雑性を現地に行って実感してきた。 それをクールにキャッチするというのは大事なことです。 それでは中村さん、どうでしたか。

中村

 機械制御システム専攻でロボット関係を勉強しております。中村と申します。 本條さんがおっしゃっていたロジカルシンキングについてですが, 今回理工系の学生とやっていて、ロジカルに考えられるということは、チームとして一緒に活動していてやりやすかった。 話し合いもしていく上で合理的に結論が出てきたりしてよかったと思います。

桑子

 いろんな専攻の人と行ったのですよね。そのような機会は今までありましたか。

中村

 いえ、ほとんどありませんでした。

桑子

 いろんな専攻の人と一緒にプロジェクトを進めるということはどうでした。

中村

 最初、研究など自己紹介をしても興味深いものがありましたし、 ブレインストーミングをしていく中でも専攻によって視点がだいぶ違うんですね。 例えば、機械系だと技術側から、価値システムだと行政のシステムがどうかとか、 合意形成がどうとかいうことに論点が持って行かれる。 そういった意味で今までにあまり体験したことのない、面白い話し合い、議論にはなったと思います。

棚田

 価値システム修士1年棚田と申します。国際環境政治を学んでいます。 中村さんがおっしゃったように多くの専攻で一つのプロジェクトに取り組むということで、 システム系の人と僕たち価値システムの人だと考えることが大きく違っていました。 けれども今回の災害に対してボランティアしていくということで、 広いことを考えていかないといけないという要望もありますので、 多様な人材がいたということが広い要望に応えていくのに包括的に働けたと思います。 その点で、色々な人がいて良いと思いました。

桑子

 プロジェクトというのは目標を一つにしていろんな能力を持った人が協力し合う。 そこで力を発揮したと思います。そういった点ではいろんな専攻の人と付き合えてたのはいい経験になる。

ロジカルに考えられることが、現地の多様な要求に対し、
技術の枠を超えた多面的な支援を可能にする。

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